介護施設を利用する要介護者には、認知症を患っている人も含まれますが、そのような人へのケアは十分に注意しなければなりません。介護職はその性質上、要介護者の体を支えるなど、身体介助の仕事が多くなりますが、認知症の人は他人に体を触られることを非常に嫌がる傾向にあります。脳の機能が損なわれ、自分が置かれている状況が分からなくなっていることが、その理由です。また、認知症の人は自分が危害を加えられると思い込むことも多いので、介護職に就く人は、接し方に細心の注意を払う必要があります。そのため、介護施設によっては認知症ケアを学ぶ講習会を行っている所もありますが、症状は人によって異なるので、画一的な対処法では十分なケアができないということが課題になっています。
ちなみに、介護の仕事に従事する人は、要介護者の安全を第一に考えたケアをすることが重要だと言われますが、その理由も認知症と少なからず関係しています。介護施設を利用する高齢者は、体力が大きく低下しています。ですから、ねん挫や骨折などの怪我を負うと、そのまま寝たきりになってしまい、病気を発症したり、認知症の症状が著しく進むことも珍しくないのです。認知症を発症しってしまうと完治することはないので、できるだけ心身にストレスや負担をかけず、症状が進むのを遅らせる以外のケアしか行なえません。ですから、介護の現場では安全性が重視されているのです。
高齢化会社会が深刻化する日本では、今後認知症患者の増加は避けられません。ですから、介護に従事する方は、上記のことを念頭に置き、手厚いケアを行うようにしてください。