高齢化社会において、認知症ケアはマストともいえる仕事です。認知症の利用者は、心理面で不安定になったり、脳の認知機能に障害が出て、日常生活を送ることが不自由になるケースもあります。また、できないことが増えて感情的になることもあるため、急に性格が変わったようになってしまうことも少なくないそうです。そのため、介護職は、利用者のできることに注目し、いかに尊厳を守れるケアを行うかが鍵になります。
そこで、まず認知症ケアで押さえておきたいことは、利用者に寄り添う気持ちを持つことです。認知症になったからといって、部屋に閉じ込めていたり、苛立った気持ちを無理に押さえつけようとしてはいけません。利用者にも認知症になる前のように役割を与えて、できない部分を介護職が支えてあげましょう。また、できたことに対しては、「ありがとう」「助かります」と声をかけて、自尊心を高めることも大切です。役に立つと嬉しいという気持ちは、認知症の有無に関わらず誰もが感じる喜びです。ですから、あえて周囲と差をつけずに、できる部分は本人に任せて、見守る姿勢を保つことがポイントです。
また、認知症の症状により、引きこもりがちになってしまう利用者に対しては、外出に誘ったり、レクリエーションをすることも効果的です。四季の移ろいを感じたり、人と会話をすることは、脳の機能を活性化させるのに有効なので、症状を遅らせることができるかもしれません。利用者に楽しんでもらうことを第一に、まずは介護職から積極的に声かけを行い、当事者の気持ちに寄り添った対応を心がけましょう。